台湾はどこか懐かしさの漂う街並みがところどころにあります。
その風景の一部には日本統治時代に建設された歴史建造物も一役担っています。
小さな建物から大きな建物まで台湾全土には個性的な建造物がたくさんあります。
なかでも広範囲に建物が集合している工場跡地をリノベーションし、文化や芸術の情報発信地として新しく生まれ変わったスポットがあります。
今回は台北市中心部にある松山文創園区をご紹介します。
なんとなく文字の並びでご想像はつくかと思いますが、文創園区(文創)というのは「文化を創り出す場所」という意味があります。
これまで長い間放置され続けてきた建造物を芸術的な位置づけで見直し、建物の古さを生かした空間づくりとディレクションによって新たな文化を生み出すカルチャースポットとして話題を呼んでいます。
台北中心部には大きく2つの工場リノベーションスポットがあります。
1つは台北市のMRT忠孝新生駅そばにある「華山1914文創園区」です。
こちらの建物は元酒工場跡地です。工場が移転したのち12年も放置されていましたが、今では様々なショップが立ち並ぶおしゃれな場所になりました。
そして現在人気を二分しているもう一つの文創が「松山文創園区」です。
以前は地図上で見てもただ空白のゾーンになっていたエリアが、今では台湾の最旬を伝える情報発信地になりました。
松山文化創園区は日本統治時代である1937年に建設された元煙草工場です。
台湾最大と謳われた巨大な建築でしたが、1998年閉鎖後しばらくの間放置されていたそうです。
松山文化創園区として誕生して以来、元工場の建物を利用したテナントに加え、敷地内では長い間工事が続いていました。
そして2013年、誠品書店による新形態のライフスタイルショップ「誠品生活」と誠品初のホテル「誠品行旅」が2015年にオープンし、今もなお進化を続けています。
ニュースな誠品が盛り上がるだけでなく、もちろんお隣の工場建築も常に多くの人で賑わっています。
MRT市政府駅から歩くと敷地内の庭から入る形になります。
そこにはアヒルも住んでいる和やかな池をぐるりと庭園が囲んでいます。
木陰の道を抜けていくと建物が見えて来るという道すがらもまた楽しいひとときです。
しばらくすると視線の先に現れるのが元ボイラー室だった建物の煙突です。
コンクリートの染みと真四角の木の窓枠、そして三角屋根という工場らしい建物が特徴的ですよね。
長い間そこにいたという時間を感じるような壁面のシミは、思わずカメラを構えたくなります。
大きな倉庫は現在展示施設として活躍中です。様々なアート展やイベントが行われていますよ。
タバコを製造していた工場跡は台湾設計館という施設になっています。
ユニークな台湾デザイン雑貨が展示されていて、アート好きにはたまらない空間です。
そのほか機械を修理するための修理工場、託児所跡などもあります。
建物内の一部には立ち入り禁止の場所もあるものの、基本的に出入り自由です。
長い回廊やレトロなトイレ、多くの人がすれ違ってきたであろう階段など、懐かしい雰囲気が漂う建物内はまるで古い学校のような佇まいです。
台湾の観光地でよく見かける結婚写真撮影も度々行われています。
撮影風景をしばらく観察するのもまたおもしろいものです。
広い園内、建物探訪の休憩には素敵なカフェやレストランを利用しましょう。
誠品生活のショッピングも含めると丸一日遊ぶことも可能な松山文創園区。
最寄駅はMRT市政府駅なので、台北101も目の前です。
ぜひ台北散歩のコースに加えてみてはいかがでしょうか。