故宮博物院南部院区は嘉義に作られた故宮博物院の分館です。
台北にある本院の故宮博物院への訪問者数が年々増加しており、それに対応するために建てられました。
本院とは対照的なモダンな設計が特徴となっています。
故宮博物院南部院区は嘉義駅から西へ車で30分ほど行った所にあります。
敷地の入口にあるダークグレーのレンガを積み重ねて作った趣のある守衛所からは、はるか遠くに湾曲の橋が見え、さらにその向こうに国立故宮博物院の建物が見えます。
一見青いガラス張りの建物のように見えますが、近づくと、実際には、2つのまったくデザインの異なる湾曲型の建物がその端でつながっているのがわかります。
1つ目の建物はガラスとコンクリートでできており、2つ目の建物はコンクリートの壁に大小の微妙に色相の異なる円い石を付けて模様を創出しています。これだけでも設計の独創性を感じさせます。
故宮博物院南部院区の敷地面積は70ha。そのうち50haが景観エリアに使われています。
この広い敷地には建物を囲むように湖が作られており、その上に掛かっているのが敷地の入り口から見えた橋「至美橋」です。至美橋の長さは142mですが、橋脚がないため、優雅なアーチが湖の上空に浮かんでいるように見えます。
橋は銅でできていますが橋脚を使わないため軽量対策がされており、橋を利用できるのも歩行者と自転車に限られています。
故宮博物院南部院区には常設展示室、特別展示室、そして国際展示室がありますが、3階にある常設展示場では「茶葉香る遙かな旅路-アジア茶文化展」「仏陀の形と影 ─故宮博物院収蔵のアジア仏教芸術の美」「アジアの理解-ニューメディアデジタル展」を見ることができます。
また特別展示室では台湾の少数民族についての展示物やアジア各地域の展示物などが期限付きで展示されます。国際展示室では2015年から2018年末まで「出帆万里—日本伊万里磁器特別展」が開かれています。
故宮博物院南部院区は、台北にある国立故宮博物院の訪問客が増えすぎたためそれを吸収する意味で2004年12月に分院として設立されました。
故宮博物院南部院区の名前は正式には「故宮博物院南部院区 アジア芸術文化博物館」といい、その名が示す通り、広い視野の下、アジアに注目することをミッションとしています。
そのため、展示物も台湾に留まらず、アジアの各地域の文化と芸術を伝える物が多く展示されています。
故宮博物院南部院区の敷地及び建物は、緩やかな湾曲をモチーフに設計されていますが、この湾曲は中国の水墨画の筆の動きからヒントを得たもので、特に建物の設計は水墨画における「濃墨」「かすれ」「ぼかし」を見事に取り入れています。
この3つの要素が生み出すものは「虚」と「実」で、2つの建物がそれぞれ異なる趣を持っているのはこの虚と実を表現しているからです。
また湖にかかる至美橋が2つの建物に向かい、建物の入り口付近で合流し3つになっているのは、中国・インド・ペルシャの3つの古代文明が交わり合って現在のアジアを形成する基礎を築いたことを意味しているのです。
故宮博物院南部院区の建物は芸術的な美しさを誇っていますが、同時にインフラ面でも優れた設計になっています。
特に台湾は地震や台風が多いところですから、摩擦振り子型装置を取り付けた耐震構造や、床板の高さを11mにするなどの洪水防止構造に工夫が凝らされています。
また安全性や防火性、設備の使いやすさなど、すべての面で最高のレベルの設計が施されています。
嘉義の布袋港エリアにある高跟鞋教堂(ハイヒール教会)は2016年に建てられた青いガラス張りの巨大ハイヒールのオブジェです。世界中探してもどこにもないようなこのオブジェは、その大きさと珍しさとからギネスブックにも登録されているのです。インタ映えするような写真が取れるところが多く、おすすめです。故宮博物館からも嘉義の布袋港エリアにある高跟鞋教堂(ハイヒール教会)は2016年に建てられた青いガラス張りの巨大ハイヒールのオブジェです。
蒜頭糖廠蔗埕文化園区は故宮博物院南部院区から北東に1kmほど行ったところにあります。
1903年に建設された台湾で3番目の砂糖工場ですが、これまで保存してきており、文化地区として一般に公開されています。昔使われた建物や設備、そして運搬に使われた列車がそのまま残っています。他の文化園区のようなリニューアル感はありませんが、かつての生活を偲ぶ上では貴重な文化遺産だと言えるでしょう。
住所 | 嘉義縣太保市故宮大道888號 |
営業時間 | 9:00-17:00 |
休み | 月曜日 |
HP | http://south.npm.gov.tw/ja-JP |