台南駅周辺には外観だけでも見る価値のある日本統治時代の重厚な建築物がたくさんあります。特に台南駅から徒歩15分ほどに位置する民生緑園のロータリーには象徴的な建物があり、散歩にぴったりです。今回はその中でも一際目を引く国立台湾文学館をご紹介します。
台南駅を出て左手、南横公路、途中で中山路と名前を変えて再び南横公路という名称に戻る広い通りがあります。この道を進んで台南の名物店をいくつか通り過ぎると、緑地公園をぐるりと囲むロータリーに突き当たります。このロータリー沿いには旧台南警察署や旧台南合同庁舎など趣のある建物が並んでいます。
その歴史建造物の一つである国立台湾文学館は、もともと台南市政府として使われていた建物。建築デザインは、台北市の総統府の建築でも知られる森山松之助さん。赤レンガの堂々たる姿を見れば、なるほどと思う方もいらっしゃるでしょう。
館内に入ると天井の高い空間が広がっています。大きな柱と赤レンガのクラシックな建物がかっこいいですよね。日本統治時代に作られたこの建物はレンガとコンクリートを主に建設されています。当時最先端だった西洋風建築の良さが随所に感じられます。「舊建築 新生命」という常設展示室には、アーチ型に積まれたレンガの基礎部分と通気口が建設当時のままに保存展示されています。
国立台湾文学館は台湾原住民文学から現代に至るまでの台湾文学を保存、展示を目的とし、2003年に開館しました。展示室以外にも講演室や図書室など台湾文学をもっと身近に感じられるような活動をしています。特別展は常時2~3展が同時開催されており、どれも台湾と文学、芸術を結びつける興味深い展示ばかりです。全て無料で観賞できるというのも嬉しいポイントです。
こちらは「世界一舞台 莎士比亞在臺灣 特展」という特別展。「ハムレット」などで知られるシェイクスピアの展示です。シェイクスピアの生い立ちや、彼が残した作品にまつわる展示の中には、実際に上演された際の衣装展示などもあり、大変見応えがありました。こちらの展示はすでに終わっていますが、このように、台湾文学だけでなく台湾における海外文学とのつながりも紹介されています。
児童書房こと子供のための図書館スペースも設けられています。絵本から漫画まで小さな子供から13歳の子供を対象とした場所ですが、2013年にリニューアルして以来、インテリアが可愛らしいと評判です。蔵書は1万5000冊もあるというから充実していますよね。童心に帰って絵本を読みたくなるようなワクワク感のある図書室、ぜひついでに立ち寄ってみましょう。
文学館に隣接するカフェスペースは文学館の開館よりも30分早く朝8:30から営業しています。こちらではフェアトレードのコーヒー豆を使った本格的なコーヒーやフレッシュジュース、手作りのドレッシングを始めとする、素材にこだわったサンドイッチなどのフード類が楽しめます。朝ごはんを食べに文学館へ行くなんて、ちょっと特別な感じがしますよね。閉店時間は文学館に準じています。
文学館の素晴らしさは昼間の姿だけではありません。夕方、日が落ちて文学館周辺を散歩すると、歴史建造物がライトアップされているんです。もちろんこの文学館もその一つ。フォトジェニックな写真が撮れますので、夕食を食べた後のお散歩に出かけてみましょう。孔子廟のすぐそばにありますので、こちらと合わせて訪ねるのも良いですね。
台南駅周辺の歴史建造物巡り、気象博物館や太平境教会なども別記事でご紹介していますので合わせてご覧ください。昼間と夜、別の雰囲気を楽しめるので、1日台南で過ごすなら是非両方の姿を見学しましょう。
住所 | 台南市中正路1号 |
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電話番号 | 06-221-7201 |
営業時間 | 9:00~18:00(金土は~21:00) |
休み | 月曜日 |
アクセス | 台湾鉄道台南駅前から徒歩20分ほど |