台北駅のすぐ南側にある二二八和平公園は、忙しい台北市内にありながら、ほっとできる空間を提供してくれる憩いの場です。
その美しくのんびりとした雰囲気いっぱいの公園ですが、この公園ができた背景には台湾の悲しい歴史物語があるのです。
二二八和平公園は台北のMRT淡水線に乗り、次の駅「台大医院」で下車し1番出口を出るとすぐ見えます。
元々は、「台北新公園」と呼ばれていて、日本統治時代に作られた公園でした。
街中にある公園としては71,520㎡(東京ドームのグランド面積の約5.5倍)の面積を持つ広々とした公園です。
普段は太極拳をするシニアや遊園地で遊ぶ子供達、そしてぼこぼこの「健康歩道」を歩く人々の姿がみられるまさに市民の憩いの場となっている公園です。
二二八和平公園には、SL展示室があります。SLファンには見逃せないスポットですね。
このSL展示室には台湾で初めて使われた蒸気機関車「騰雲号」が展示されています。
騰雲号は1887年にドイツで製作されたもので、台湾では1888年から始動し1924年まで36年間走り続けました。
展示されたころは二二八和平公園内の国立台湾博物館にありましたが、より多くの人が見れるようにということで現在の展示室に移されたのです。
国立台湾博物館は、二二八和平公園内にあり、日本統治時代の1908年に建設が着手され1915年に完成した台湾で一番歴史のある博物館です。
ギリシャ的なデザインが施されているため、正面から見ると列柱が並び屋根にはドームが見えます。
その美しい建物は、写真撮影のスポットとしても知られています。内部にはイタリアの大理石が使われ天井にはステンドグラスがはめ込まれています。
国立台湾博物館の館内には台湾の動植物や原住民の文化関係の文物が展示されています。
二二八和平公園の名前になっている二二八とは、二二八事件のことで、1947年2月28日に台湾の市民と警察官の間でタバコの闇販売をめぐって起きた暴動です。
この事件は、それまで国民党政府に対して不満を抱いていた市民の反政府感情を刺激し、台湾全土で反政府運動が広まるきっかけを作りました。
結果的に、武器を持たなかった市民が政府軍に勝つはずはなく、当時の総統だった蒋介石は武力を使ってこうした反対派を一掃しました。
そのため、多くの市民が犠牲となったのです。
二二八和平公園にある台北二二八紀念館は、この二二八事件を紀念して建てられた紀念館です。
事件が悲しい結末であったため、記念館内の展示物も当時の様子を伝える負の要素を持ったものが多いのですが、歴史を理解するためには見逃せないスポットになっています。
実際、二二八事件は台湾で長い間触れてはいけない出来事のように取り扱われてきました。
ところが、やがて歴史を直視しようという動きが高まり、日本統治時代にラジオ局として使われていた建物を1997年に現在の二二八紀念館に作り変えました。
二二八事件は悲しい出来事ですが、二二八和平公園には、華やかな歴史も残っています。
その一つが戦前にこの公園で開かれた博覧会です。1935年に当時台湾を統治していた日本政府が、台湾の経済的な発展を世界に見せようと開いたものです。
その頃は二二八和平公園はまだ新公園と呼ばれていましたが、博覧会では政府や企業のパビリオンが作られ大変な盛況だったそうです。その頃の写真も残っていて、台北二二八紀念館で展示されることもあります。
住所 | 台北市凱達格蘭大道3号 |
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営業時間 | 5:00~24:00(入園自由) |
アクセス | 台北MRT淡水線「台大医院」出口1から徒歩すぐ |
台湾の歴史や文化