淡水河そばの丘に立つ紅毛城は淡水観光には欠かせない場所の一つです。元要塞として建てられましたが、現在は建設当時の歴史を記す展示を中心とした博物館になっています。MRT淡水駅から徒歩圏内なので、淡水の街をぶらぶら歩きながら紅毛城へ行ってみましょう。
紅毛城は1628年にスペイン人が築いたお城です。建設当時はサン・ドミンゴ城と呼ばれていましたが、1642年にオランダによる統治が始まりスペイン勢力が終焉を迎えます。そこに再建されたのがアントニー要塞です。
現在の呼び名である「紅毛」という名称は、当時淡水の住民がオランダ人を紅毛と呼んでいたことから。その後、鄭成功がオランダ勢力を廃した頃に大きな修繕が行われたものの、政策の変更などで城は一時廃墟と化しました。そして北京条約により淡水が開港すると、イギリスが紅毛城を借り入れて領事館として使用し、隣には領事官邸が増設され今の形になりました。
さらに日本統治時代を経て、第二次世界大戦後はオーストラリア、アメリカと所有権が移り、1980年にようやく台湾に変換されました。紅毛城は次々と持ち主が変わりながらもその場にありつづけ、台湾の歴史を見守ってきました。今では国家一級古蹟に指定され、毎日多くの観光客が訪れています。
蔦が絡まる入り口から入ると坂道を上がって紅毛城へ向かいます。登りきると気持ちの良い風が吹き抜ける小高い丘に到着です。
赤レンガ造りの2階建ての建物は、要塞としての機能を果たすべく頑丈な工法で作られていたそうです。こじんまりとしているものの重厚感があります。敷地内は緑に溢れており、赤レンガと木々の緑のコントラストがとても美しいです。
建物内の展示には日本語の案内板もあり、貿易が盛んだった頃を忍ばせる船の模型や領事官邸の模型など、紅毛城が歩んできた歴史を知ることができます。
領事館として使われていたため、イギリス式の暖炉やヨーロッパらしいしつらえの家具が並んだティールームが再現されるなど、居住空間として使われていた雰囲気がそのまま残されています。ところどころ撮影禁止や立ち入り禁止の部屋もあってなんだかミステリアスな感じもします。
紅毛城とは全く違ったイギリスらしいコロニアル建築の領事館。赤レンガの建物に青の窓枠がかわいらしい建物です。アーチを描くポーチからは淡水の景色が一望できますよ。
手入れされた庭には大砲がありますが、こちらはあくまで飾りなのだとか。室内は領事官邸として使われていた当時の部屋が再現されています。暖炉のある温かな印象の客間にはヨーロッパアンティークの家具が配置されています。家具だけでなく足元にも注目しましょう。床には美しい模様を描くタイルが見えます。
真っ白のタイル張りのキッチンには、当時のコンロや火を起こす道具などが展示されています。 淡水駅から紅毛城へと歩く道すがりに出会う「淡水紅楼」という古蹟もまた、紅毛城と同じような赤レンガのコロニアル建築です。合わせて見学してはいかがでしょうか。
淡水は台湾のヴェニスと言われているほど美しい夕日が鑑賞できるエリアです。小高い丘に立つ紅毛城からの眺めも抜群。昼間に見る風景も素晴らしいですが、ここから望む淡水の夕焼けは見る価値ありです。館内の入場は18時までですが、城内の入場は21:30までなので日が沈んだあとも夜景が楽しめます。カフェテラスもありますので是非ご利用下さい。なお紅毛城の側には真理大学や淡工高級中学があります。どこも無料で入場できますので、気軽に淡水の歴史探索ができますね。
ちなみに高雄にも「打狗英國領事館」という旧イギリス領事館があります。こちらもまた眺めの良い丘の上に建っているので昼間の風景も夜景もとても美しいんです。打狗英國領事館を訪れた際は淡水の領事館と比べてみてくださいね。
住所 | 淡水鎮中正路28巷1号 |
TEL | 02-2623-1001 |
営業時間 | 9:30~22:00(室内展示18:00まで、入場は21:30まで) |
定休日 | 第1月曜(祝日を除く) |
アクセス | MRT淡水駅からバス紅26で紅毛城バス停下車。 |
入場料 | 無料 |