鉄道や地下鉄など日本でもお馴染みの乗り物でも所変われば趣が変わるというもの。海外に行った時に乗り物を乗りこなせると旅もよりスムーズになりますよね。現地の人に混じって地元の交通手段を利用すると更に気分が盛り上がります。その土地の良さを堪能できる鈍行列車の旅なんて憧れると思いませんか?
台湾には半島を一周することのできる鉄道「台湾鉄道」があります。その中でも平渓線と集集線は観光客に人気のローカル線です。
今回は台北中心部から比較的アクセスがよく、見所の多いローカル支線平渓線の終着駅「菁桐駅」をご紹介したいと思います。
瑞芳駅から乗り入れを行っている平渓線に乗り、終点の菁桐駅へ向かいましょう。乗車時間は約45分ほどです。のんびりと進行する鉄道の車窓からは台湾の田舎の風景が堪能できます。南国らしい果実のなる樹木や賑やかな色合いの花、街並みなどを眺めているとあっという間に目的地の菁桐駅に到着です。
通過する駅にも見所がたくさんありますので帰り道に立ち寄るのがオススメですよ。菁桐駅は日本統治時代の1929年に建てられた歴史ある駅です。今もなお現存する貴重な日本式の木造駅として国家三級古跡に指定されています。日本のローカル線の駅にも通じるレトロな駅舎が写真好きの間でも人気です。菁桐駅周辺は曇りや雨などすっきりとしない天気が続く土地柄のためかどこか哀愁が漂っています。しかしその気候によって青々と緑が生い茂る独特の雰囲気も併せ持っています。
菁桐駅はこれまでに数々の台湾映画やドラマに登場してきました。日本でも人気のある台湾人俳優チェン・ボーリンが主演を務めた映画「台北に降る雪」のメインロケ地もこの菁桐駅とお隣の平渓駅です。
「台北に降る雪」は挫折を経験した女性新人歌手が菁桐で出会った人たちの温かい心に触れ、傷付いた心身を癒していくというお話です。チェン・ボーリン演じる菁桐に住む若者が献身的に彼女を支える姿と、美しい平渓線の風景に見入ってしまいます。
菁桐駅を訪れる予習として事前に見ておくと旅がよりおもしろくなると思いますよ。
[Photo by 新北市政府観光旅遊局]
菁桐は炭鉱業が盛んだった街の一つです。かつて炭鉱労働者たちを支えた老街が今も健在しています。こじんまりとした老街ですが街の歴史を感じるような年季の入った建物が並んでいます。食堂や土産物店が並んでいるので、ゆっくりお店を見学しながら街を散策しましょう。
古い建物が多いのでフォトジェニックな写真が撮れますよ。菁桐駅そばには炭鉱産業が盛んだった頃の歴史に触れられるスポットがあります。
鉄道局の旧宿舎をリノベーションした炭鉱業の資料館「菁桐鉱業生活館」や原寸大の坑道モデルがある「菁桐炭鉱記念公園」、台湾鉄道関連の様々な展示を行っている「菁桐鉄道博物館」などがあります。
日本風の建築が多く昔の菁桐を偲ぶ歴史散歩が楽しめます。
菁桐駅を降りると目に入ってくるのが大量にぶら下がる竹の筒。
これが街の中のいろいろな場所にぶら下がっています。よく見るとそれぞれの竹筒には文字が書かれています。こちらは許願筒と呼ばれるもので、日本の絵馬のようなものです。竹筒に願い事を書いて吊るすと願い事が叶うのだそうです。
ぜひ旅の記念にお願い事をしてみましょう。いろいろなお願い事が書かれていますが、特にこちらは子宝祈願で有名なのだとか。先ほどご紹介した「台北に降る雪」の中でも印象的なシーンで登場しますよ。
今回ご紹介した平渓線の終着駅、菁桐駅はいかがでしたでしょうか。
台北市内から気軽に日帰りできるプチトリップを計画するなら、ローカル線ならではのゆったり旅を味わいに鉄道の旅へ出かけてみましょう。