龍山寺は1737年に創建された台湾で最も古い由緒あるお寺の一つです。約280年という長い間、自然災害や戦争のため幾度の再建を繰り返しながら現在に至っています。中国の宮殿式建築で作られている境内は、本尊が祀られている正殿を囲むようにぐるりと前殿や鐘楼、後殿などが囲んでいるという「回」の字ような形になっています。健康、学問、恋愛などあらゆる神様が祀られているため、ご利益のあるお寺として観光客に非常に人気のお寺です。
まずお寺の入り方ですが、前門と言われる門は入り口が二つあります。これは右側の龍門から入るのが正解。参拝後は向かって左手の虎門から出ましょう。上を見上げると屋根の装飾が大変見事です。境内へ入ると参拝客の多さと本殿の賑やかさに圧倒されると思います。
まずは前殿の正面に左右対称にある柱に注目です。巻き付いた龍の彫刻が施されたこの柱は銅雕龍柱というもので約100年も前に作られたものだそうです。
本殿前にある大きな香炉に思わず目がいきます。金色の派手な香炉の足元を見てみましょう。香炉を支えるように怪しげな人が足になっています。シルクハットを被ってふんわりとしたズボンを履いたこの人はオランダ人。オランダ統治時代を忘れないようにとのデザインだそうです。中華仕様の境内の中で異質な存在感を漂わせています。本殿に祀られているのは観世音菩薩。本殿の中は豪華絢爛です。螺旋藻井と呼ばれる天井の装飾は必見です。1600体に及ぶ龍の細工が螺旋を描くように組まれています。じっくりご覧ください。
本殿には仏教の神様が祀られており、後殿には19もの道教の神様たちがいらっしゃいます。自分の目的に合わせてお参りをしましょう。もちろん全ての神様を参拝してもOKです。特に人気があるのが白いお髭の「月老神君」こと月下老人です。こちらの神様は良縁を司る恋愛の神様です。女性たちがこぞって集まっています。正しいお参りをすると「運命の赤い糸」をいただけます。
拝拝とは参拝のことを指します。現地のお寺でお参りをする場合は必ず約束ごとを守ってお参りしましょう。心を込めてお参りすればきっとご利益がありますよ。境内で誰でもできるおみくじにも是非挑戦を。
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龍山寺のある萬華地区はいわば巣鴨的なところというとイメージしやすいかもしれません。台北の他のエリアに比べるとグっと年齢層が上がります。薬草を扱うお店が集中しているので独特な香りがしていたり、ガラクタを集めたような骨董店があったり、ここは何を売っているお店?という不思議なお店がたくさんあります。龍山寺自体は観光地ではあるものの、ほんの少しお寺を離れるだけでかなりディープな街歩きが体験できます。占い好きな方はMRT龍山寺地下の占いストリートへ行ってみましょう。日本語の出来る占い師さんもいらっしゃいますよ。そしてレンガの街並みが保存されている剥皮寮はレトロな雰囲気が素敵です。歴史任官する展示やアート展なども随時開催されています。
廟前グルメというジャンルができそうなほど台湾のお寺や廟のそばには多くの人が集まるためか、おいしいお店が集中しています。龍山寺のそばにも胡椒餅や肉粥、切仔麺など評判の店があります。お参りの際にはぜひ食事をしましょう。薬草通りに行けば体にはいいけれど癖のある青草茶のお店が並んでいます。食後に一杯健康のために飲んでみてはいかがでしょうか。
龍山寺近くに新富市場・東三水街市場という看板の細いアーケードが見えます。とても狭くて小さな市場なのですが、この市場がまたディープ。お肉の塊が無造作に置かれている精肉店や、丸ごと1羽のチキンがぶら下がっている鶏肉専門店、見たことのないような野菜を売っているお店、地べたにシートを広げただけのお店もあります。見ているだけでとてもおもしろいので歩いてみましょう。