北投温泉は台北の北、淡水の手前にある台湾屈指の温泉町です。
今では新北投温泉の名でも知られており、台湾の地元民だけでなく、日本からの観光客も注目をする温泉地として発展しています。「北投石」でも知られるこの温泉の見所や歴史などをご紹介します。
北投温泉は台北の北10キロほど行ったところにある温泉町で、「新北投温泉」とも言われています。
北投温泉に行くには、台北からMRT淡水線に乗り、淡水の少し手前の「北投駅」で降り、新北投支線に乗り換え、終点の「新北投駅」で下車します。
温泉街は駅から2分ほど歩いたところから始まります。北投温泉は、「温泉」というだけあり、特に日本人に人気があり、しかも台北の中心街から30分ほどで行けるのが魅力です。
北投温泉の「地熱景観公園」には湯温が90度もある湯が噴き出る「地熱谷」と呼ばれる源泉があります。
この源泉を使っているのが「瀧乃湯」という公衆浴場。さすがに瀧乃湯では湯温は50度まで落としていますが、それでもとにかく熱い!しかも強酸性のため湯の色が青なのです。
地熱谷では、以前、温泉卵を作ることができましたが、ゆでるときに池に落ちる人が多く、今は温泉卵は禁止されています。
北投温泉博物館は昔の北投温泉にあった公衆浴場の建物を修復して博物館にしたものです。
建物自体は洋風ですが屋根には日本的な黒瓦が使われており、和洋折衷のユニークな建物です。北投温泉博物館では、北投温泉の歴史に触れることができ、またラジウムを放つことで有名な「北投石(ホクトライト)」を見ることもできます。
ただ、残念なのが、現在古跡を保存するための改修工事を行っているため、2018年10月26日(金)までは休館になっていることです。
台北市立図書館北投分館は、世界で最も美しい図書館として海外のウェブサイトから上位に選ばれています。
また、テーマがエコ、環境に優しい図書館ということもあり、世界で最も優れたグリーン建築ベスト10としても選ばれています。
木造建築で屋根には太陽光発電パネルが設置されています。雨水はトイレの排水や植物用に利用され、建材には再利用を前提にしたエコな素材を使用しており、内装の塗料は有害物質の放出しないものを選んでいるという徹底ぶりです。
「日勝生加賀屋」は石川県和倉温泉の「加賀屋」が北投温泉に建てたホテルですが、和室を備え、ひのきや大理石を使ったインテリアは豪華そのもので、日本人だけでなく「一度は泊まってみたい」という台湾人も多いそうです。
もちろんその分宿泊料も1泊1部屋3万円~5万円と高額ですが、台湾で日本風の温泉に浸ってみるのも一案でしょう。
北投温泉は、1896年に始まったとされていますが、源泉はその2年前にドイツ人の硫黄業者であるオウリーという人が発見しています。
最初に建てられた宿泊施設は「天狗庵」という旅館で、これは大阪の商人平田源吾によるものです。
北投温泉は、その後の日露戦争の際に負傷した日本兵を治療するための療養所として利用され、それ以来、湯地場として訪れる人が増えていきました。
北投温泉から湧き出る水には白硫黄泉、青硫黄泉、鉄硫黄泉の3つのタイプがあります。
この中で最も多いのが白硫黄泉です。中には「水都北投温泉会館」のように白硫黄と青硫黄の両方の温泉を楽しめる所もあります。
いずれにしろ北投温泉から湧き出る水には硫黄が含まれているわけですから、街全体に硫黄の匂いが漂いまさに温泉気分いっぱいになります。
北投温泉は「北投石」でも有名ですが、この北投石は1905年に日本人の学者岡本要八郎により発見されたものです。
北投石はラジウムを含むことで知られており、世界で北投温泉と秋田県の玉川温泉、鳥取県の三朝温泉にしか存在していないことが分かっています。
この北投石の発見が北投温泉の名前を広めることになり、治癒温泉として人気を呼ぶようになりました。
北投温泉は、戦後中華民国の支配下に置かれた際に「置屋」の設置が許されたため、一般の温泉街と言うよりは売春目的の花街として繁栄していました。
これに対し1979年に「公娼制度」が廃止され、北投温泉は再び一般市民のための憩いの場として復活したのです。
その後、先の述べた「日勝生加賀屋」を初めとする日本の温泉宿などが進出し、北投温泉は本格的な観光地として発展し今日に至っています。