台南駅前から伸びる中山路をまっすぐ進むこと10分。
道の真ん中に緑溢れる公園を囲むロータリーがあります。このロータリー周辺は歴史的建造物が集まる台南観光の名所。
ロータリーに沿って建っているのは、重厚感のある大きな建築が目をひく国立台湾文学館、そして消防署。さらにこのロータリーから公園路の方へ進むと、右手に見えてくる馬雅各紀念長老教会。その斜め向かいにひっそり建っているのが「旧台南測候所」です。
ふと目に入ると、どうしても見つめずにはいられない不思議な建物。土台となる円形の建物は洋風でモダンな感じですが、屋根は瓦です。
ぐるっと一周建物を囲む窓は、淡いブルーの色が明るい建物のレンガの色合いにとても合っています。今レンガになっている部分はかつては漆喰だったのだとか。
屋根の瓦の上には灯台のような白亜の塔が乗っています。まるで土台と上の塔の部分を別々のところから持ってきてくっつけたような変わった建築物ですよね。
台南に住む年配の方々からは「胡椒菅(ペッパーミル)」という愛称で呼ばれているそうです。
今見ると3階建てほどの高さで、さほど高層の建物とは思いませんが、建設当時は台南の大型建築物の一つと謳われていました。
日本統治時代初期に作られ、1898年に落成。観測所の周辺は観測の邪魔になるようなものを排除する必要があったため、この辺りでは一番高い建物だったそうです。
1998年まではこの建物で気象観測が行われていました。わりと最近まで稼働していたんですね。
測候所とは、気象観測所のことをさします。1階部分は正18角形になっていて、中は円形の廊下があり、塔を囲むように所長室、予報室、観測作業室など6つの執務室が設置されていました。
白い塔の正体は風力計です。すでに役目を終えた旧台南測候所ですが、この風力計だけは現役で活躍しています。
現在はすぐ隣に新しい気象センターができましたが、今もなお、気象博物館として訪れる人たちを楽しませています。新旧の観測所が隣り合わせになっているのも珍しいですよね。
最も歴史ある観測所であり、唯一残っている貴重な建物のため、1998年に台南市の古跡に指定、そして2003年には国定古跡に昇格しました。
館内の一部は見学可能です。こちらは無線装置。他にも使われていた機械や館内設備、観測所の模型などに加えて、館内がどのような造りになっているのか見て回ることができます。
夕暮れになると建物がライトアップされて綺麗なので、周辺の歴史的建造物と合わせて夜景散歩を楽しんでくださいね。
住所 | 台南市中西区公園路21号 |
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営業時間 | 月~金曜、第3土曜日の10:00~15:00 |
休み | 土日祝日 |
アクセス | 台湾鉄道台南駅から徒歩約10分 |